蜜色チェーン―キミと一緒に―


「今日、初めて女に手をあげた」
「……宮坂さんの、彼女に?」
「そう」


淡々と話す拓海くんの隣に座りながら聞く。

最近は私の部屋で過ごす事がほとんどだったから、拓海くんの部屋に上がったのは久しぶりだった。

でも、拓海くんの部屋は何も変わっていなくて。
それはあたりまえの事なのかもしれないけど、拓海くんの心境と重なって見えて寂しくなる。


「宮坂が社長に俺の事を言う気配がないから、追い打ちかけに行ったんだ。
別れなければ、宮坂の過去をバラすって脅してきた。
宮坂の母親は、社長と籍を入れてはいないからあいつは隠し子になるわけだし。
それをバラすって脅した」
「……彼女は、なんて?」
「悩んでたけど、別れるって。
でも、バカ正直な子だし、悩みに悩んで、それを宮坂は見逃さないだろうから、俺に脅されたって事はあいつの耳にもすぐ入るだろ。
そうすれば、さすがに宮坂も社長に言うと思うし。
それで、やっと終わる」




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