蜜色チェーン―キミと一緒に―
◇「全部、俺のモノにできたらいいのに」



「あ、ほら。受付の……」
「え、あれなの? もっと綺麗な子かと思ってたのに」


これから来る予定の顧客の資料を持ってくるように頼まれて、資料室で探していた時。
入口のあたりからそんな声が聞こえてきた。

見ると、ふたりの女子社員が私を見て薄く笑っていて。
多分、違う課の先輩なんだろうけど……何の話だろう。


「可愛くもないし……っていうかただの子どもじゃん。あんなの。
沖田さんってロリコン?」
「ねー。それか、頼まれて仕方なくなんじゃない?
沖田さんって優しいし。
じゃなきゃあんなの相手にしないって」
「あの……なんの話ですか?」


何の事を言われているのかは分からないけど、拓海くんの名前が出てきて、不安になって聞く。

2メートルほど先で話していた先輩たちは、明らかに私に聞こえるように話していたのに、まさか話しかけられるとは思ってなかったのか、驚いた顔をした。

その後、ふたりで顔を見合わせてから、見下すように私を見た。



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