蜜色チェーン―キミと一緒に―


「そういうとこ、イライラするんだけど。
淡々としてるっていうか、全然へこたれないっていうか。
普通ね、こんなところで先輩にこれだけ言われたら、落ち込むなり泣き出すなりするところよ」
「……すみません」
「前から気に入らなかったのよね。
新入社員で受付なんてやってるから、トイレで一緒になった時、生意気とか色々言ったのにしれっとした顔して“すみません”だけ」
「……あ、あの時の?」


確かに、一度トイレでイヤミを言われた事があった。
研修中、愛美と一緒にトイレに行った時、先輩が前を塞いで。

『新入社員のくせに受付とか、すごい生意気なんだけど』
『たいした顔もしてないくせに』

って、他にも色々言われたのを覚えてる。
愛美は隣でイライラをなんとか我慢しているみたいだった。

その顔を見た先輩たちが『なんか文句あるなら言えば?』って言ったのを合図に、愛美がぐわって口を開けたけど。
私が腕を掴んで止めた。

私の事を言われてるのは分かってたけど、言い争っても、バカバカしいと思ったから。






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