蜜色チェーン―キミと一緒に―
その後、ゴミ箱がいっぱいになってるのに気づいて、ゴミ袋を入れ替えたり、ゴミを倉庫に運んだりしていたら、いつの間にか時計は18時を回っていた。
残業しないとかいいながら、結局残業をつけられる時間になっちゃったな。
そんな事を考えながらロビーを見渡して、更衣室に向かう。
色んな課の集まっている他の階は、きっとこの時間はまだ賑やかだろうけど……。
一階は、備品庫だとか医務室だとか更衣室くらいしかないから、定時を過ぎるとしんとする。
だから、カツカツ響く自分の足音がちょっと怖かったり不気味だったり。
それを拓海くんにちょっと話したら、“由香はいつまでたっても子どもだな”って笑われたけど。
そんな事を考えて苦笑いを浮かべていた時、後ろから急に抱き締められた。
「―――?!」
誰……っ?! まさか、外にいた不審者……?!
驚いて声を出せずにいると、抱き締めている手に胸を触られる。
片手で私を押さえつけながら胸を触られて、とにかく混乱しながらも、どうにか振り払おうと暴れ出した瞬間。
耳元で聞きなれた声がした。