蜜色チェーン―キミと一緒に―
知ってるも何も、かなり大きな銀行だ。
驚いた私を見て、拓海くんが笑う。
『信じられないだろ。俺も最初は信じなかった。
けど、そんなとこの社長が俺に声をかけてくるメリットなんかないし。
信じられないならDNA鑑定までするって言うし、そこはとりあえず信じる事にした』
『でも、なんで今さら……。
今までずっと放っておいたくせに』
『ああ、その事は俺も聞いたけど、母親が、今の幸せを壊したくないから一切関わるなって言ったんだって。
だから、今まで金だけ振り込んでたらしいけど』
『今の幸せ……?』
思わず漏らすと、拓海くんが苦笑いした。
『笑っちゃうよな。今の幸せとか……。
分かってたことだけど、俺の気持ちなんかまるっきり考えてないし。
普通、子どもが別れた親に会いたがってるんじゃないか、とか考えそうなもんなのに』
『拓海くん……』
『まぁ、父親に会いたいと思った事もなかったからいいけど』
傷ついてる心を誤魔化すみたいに、拓海くんがそう付け足す。
拓海くんは笑ってるけど……胸が痛くなった。