蜜色チェーン―キミと一緒に―


「由香は心配しなくて大丈夫だよ。
あの事は、俺がどうにかするから」
「でも……」
「何作ってるの?」
「あ、きんぴら。
拓海くんがコロッケ買ってきてくれたし、付け合せだけ作ろうかと思って」


拓海くんは、一般的な家庭料理を好む。
ハンバーグとか肉じゃがとか、そぼろとか煮物。

男の人は子ども舌だからみんなそうだって、よく言うけど……。
もしかしたら、拓海くんの育ってきた環境のせいなんじゃないかなって思ってる。

なんとなく、何にたいしても、家庭的な雰囲気のあったかいモノが好きだから。

もっとも、直接聞いたわけじゃないから、私の勝手な憶測なのかもしれないけど……。
でも、そんな風に感じる。


にんじんを千切りしながら、さっき遮られた会話の続きを考える。
笹川専務の事。



< 21 / 285 >

この作品をシェア

pagetop