蜜色チェーン―キミと一緒に―


唐突すぎる言葉に思わず声を漏らすと、電話の向こうで拓海くんが柔らかい声で話す。


『俺は、誰がどうなろうとどうでもいいけど、由香だけには幸せになって欲しいから』


すぐに言葉が出なかったのは、拓海くんの言っている事が、さよならって言ってるみたいに思えたから。

お別れの言葉みたいに聞こえたから。


「どういう、意味……?
拓海くん、今どこ?」
『やっぱり、俺には無理なんだよ。
ゴールは変えられない』
「拓海くん!」
『スタートが悪かったから、なんて言い訳するつもりもないけど……。
暴れるだけ暴れてゲームオーバーになったら消えるよ』
「拓海くんっ、待って……」
『もうすぐ勇樹くんがそこに着くと思うから。
支払いも済んでるし、帰りは勇樹くんに送ってもらうように頼んであるから、由香は何も心配しなくていいよ』



< 213 / 285 >

この作品をシェア

pagetop