蜜色チェーン―キミと一緒に―


「実は、千明の方からも、拓海の行動が目にあまるって話をされたばかりなんだ。
拓海は、大学の成績だって決して悪くなかったし、要領だっていい。
それなのに、入社してから何も成績を残さないでいる。
それと今回の事は、何か関係があるのか考えてたところだ。
拓海には、私には想像することもできない闇があるから」
「……」
「野原さんは、それについて何か知っているかい?
知っているなら……ぜひ、教えて欲しいんだ」


社長の眉間には、しわが寄っていた。
拓海くんを心配してくれてるんだ。


「最初……初めて会った時、社長に自分を入社させるように言ったのは、社長の気持ちを確かめるためです。
自分のためにどこまでするかを。
そして、それからずっと……もちろん、今も。それは続いてる」
「確かめる?」
「はい。試すって言ってもいいかもしれません。
宮坂さんに嫌がらせをしているのも、会社で結果をあげないのも、どこまで勝手な行動をしたら社長が自分を切り捨てるかを、確かめているんです」
「切り捨てる……?」



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