蜜色チェーン―キミと一緒に―
◇私の負け



「由香に惹かれてるんじゃないかって気づいたのは、ずっと前だった。
でも誰も特別に想わないって決めてたし、そんなわけないってそれを誤魔化したくて、色んな女で気を紛らわしたりしてたけど……。
その時点で、由香は特別な存在になってたんだよな」


ベッドに座る私の隣に座っている拓海くん。
手を繋いだまま、拓海くんの話を聞いていた。


「最初は、ただの子どもとしてしか見てなかったんだ。
由香が、中学生なのにあまりに真っ白だったから、ちょっとショックでも与えてやろうと思って、いたずらのつもりで俺の過去を話した」


拓海くんはそこでわずかに笑いながら続ける。


「それまでずっと表向きは優等生だったけど、考え方だとかは捻くれてたから。
由香みたいな子がどんな反応するのか、見てみたかったんだ」
「……私、どんな反応したの?」


拓海くんが自分の話をしてくれた時。
確かに、ショックを受けたのを覚えてる。

私の反応が、拓海くんの目にどう映ったのかを知りたくて聞くと、拓海くんは目を伏せたまま微笑んだ。



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