蜜色チェーン―キミと一緒に―


「由香は傷ついた顔してた。そこまでは予想通りだったんだ。
でも……一度も俺から目を逸らさなかった。
真剣に親身になって聞いてくれてるのが分かって……冗談で始めた事なのに、聞いてくれてるのが嬉しくて、止まらなくなってた」


渡したバスタオルを肩にかけている拓海くんの髪は、まだ少し濡れていた。
柔らかい髪を、滴が流れ落ちて吸い込まれる。


「違うよ……。私は、ただ何も言えなかっただけ」
「それでも、由香に救われたんだ。
由香は、俺の話を聞いた後なんて言ったか覚えてる?」


聞かれて、その時の事を思いだす。

あの時。13歳の私には、拓海くんを救える言葉なんて見つからなかった。
けど、なんとかして、気持ちだけは伝えたくて。


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