蜜色チェーン―キミと一緒に―
拓海くんは静かに話しているけど、弱々しい声ではなかった。
しっかりと意思のこもっている声だった。
「自分で幸せにしてやる自信がないなら、なるべく早く離れた方がいいって思った。
だから家庭教師をやめる時、本当は由香から離れようって思ったんだ。
……けど、無理だった」
「拓海くん……」
「あの時も今回も……俺はどうやっても、何度繰り返しても、由香から離れられない」
そう告白した拓海くんが、「なんでだと思う?」って聞く。
そんな事聞かれたってどう答えれば分からなくて困っていると、拓海くんはふって笑った。
「ここに来る前に、勇樹くんから電話もらったんだ」
「え、勇樹から?」
「“姉ちゃんが声が出ないほど衰弱して、倒れた”って。
“それ全部沖田さんのせいなんだから、男なら責任とれ”って」
「……拓海くん、私の電話はずっと無視だったのに、勇樹の電話には出たの?」
この数日間で私が拓海くんに電話をかけた回数は、三ケタになると思う。
だからちょっと引っかかって言うと、拓海くんが苦笑いする。