蜜色チェーン―キミと一緒に―
「私の中にある気持ちが、全部拓海くんに伝わればいいのに」
触れた指先から、てのひらから。
全部が伝わればいいのに。
そうすれば、拓海くんの不安をひとつ残らず取り除けるから。
見つめる先で、拓海くんが困り顔で微笑む。
優しい顔で。
「そこまでしなくても、由香が言うなら嘘でも信じるよ。
もうずいぶん前から、由香を疑う気持ちなんかなかったんだ」
「私、嘘なんかつかないよ」
「分かってる。ただ、もう一度誰かに裏切られるなら……俺は由香に裏切られたい」
「裏切ったりなんか……、」
「それくらい正面から、由香と向き合いたい」
嘘なんかつかない。
裏切ったりなんかしない。
それを伝えたいってずっと思ってたけど……。
拓海くんの言葉を聞いて、言葉がでなくなった。
拓海くんがどれくらいの覚悟で、私と向き合ってくれるのかが分かったから。
目が熱くなって、涙が浮かぶ。