蜜色チェーン―キミと一緒に―
「ずっと一緒にいてくれるんじゃなかった?」
「……それはズルいと思う」
そう言われちゃえば断れなくて。
口を尖らせた私を見て、拓海くんが笑う。
そして、「じゃあ入ろうか」って私の手を引いた。
狭い浴槽に一緒に入って密着しちゃえば、当然普通にお風呂に入るだけじゃ済まなくて。
一時間以上使ってお風呂から出た後、拓海くんが言った。
「前の部屋解約しちゃったし、適当なところ見つけて引っ越すんだけど、由香も一緒に住む?」
「え……?」
私の濡れた髪をバスタオルで拭きながら、拓海くんが微笑む。
「ずっと一緒にいるなら、部屋も一緒の方がいいだろ」
一瞬、ぽかんとしちゃったけど、次の瞬間には嬉しさが頭を支配していた。
笑顔で頷いた私を見て、拓海くんが柔らかく微笑んだ。
そんな拓海くんを見つめていて、ふと、拓海くんの目じりが腫れている気がして手を伸ばす。
目立たないけど、でも……わずかに腫れてる。
「どうしたの? ここ」
「さぁ」
困り顔で微笑む拓海くんは、その理由を分かってるみたいに見えた。
だから、どうしたのって何度も聞いたのに、最後まで答えてくれなくて。