蜜色チェーン―キミと一緒に―
「係長……っ! 酔いすぎです!」
「だから酔ってないって~。
野原ちゃん、力ないねぇ。そういうところも可愛い~」
「やめてくださ……っ、係長!」
体格差もあって、力いっぱい抵抗しても、田中係長の身体が後退する事はなくて。
完全に壁に追い詰められている状態から、どうやって抜け出せばいいのか、慌てながら考える。
田中係長がどこまで酔っていてどこまで本当なのかは分からないけど、冗談だとしてはきつすぎる。
「かっ、係長……っ!」
のしかかってくるみたいに追い詰めてくる田中係長の顔を避けて、思いきり俯いた時。
「何やってるんですか」って声が聞こえた。
その声にハっとして顔を上げると、田中係長の腕を掴む拓海くんがいて。
驚いているうちに、私を抱き締める形になっていた田中係長を拓海くんがはがしてくれた。