蜜色チェーン―キミと一緒に―


「あ、大学野球? 頑張ってるんだ」
『全力で野球できんのは今年までって感じがするから余計にな。
プロとかいけるレベルのヤツはそのまま野球やってれば評価されるけど、俺みたいなただの野球好きのサークル止まりな奴は、就職活動も始めないとだし』
「へー。考えてるんだね。
もう入りたい企業とか目星ついたの?」
『大体はな。ああ、姉ちゃんのとこも一応視野に入れて検討中』
「え、そうなの?」
『ああ。結構競争率高いから、あんま可能性高くなさそうだけど。
つーか、姉ちゃんよく受かったよな』
「……怒らせようとしてる?」


確かに、何十人もの人が入社試験に来ていたし、私自身あまり結果に期待はしてなかった。
私よりもしっかりしていそうで優秀そうな人がたくさんいたし、無理かなって思っていたけど、届いた封筒には採用の文字があって。

そろってダメだと思っていたらしいお父さんとお母さんは大喜びして、お寿司をとってお祝いしてくれたっけ。



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