蜜色チェーン―キミと一緒に―
「ごめんごめん。お母さんには連絡しておくから」
『前もそう言ってたのに一向に連絡してこないから、俺がこうして電話してるんだろ』
「……そうだっけ。
なんか色々忙しかったり、電話かけようとすると充電が切れちゃったりでタイミングが悪くて」
『電話一本できないって、どうなってんだよ、姉ちゃんのケータイ』
電話の向こうで怒る勇樹に、思わず笑みがこぼれる。
家を出るまえでは、結構話したりもして仲もそれなりによかった。
けど、一人暮らしを始めてからは話す機会はあまりなくて。
姉弟でも、同性とかなら頻繁に連絡をとったりもするのかもしれないけど、異性だからそういうわけでもなかったし。
だから、こんな風に勇樹の声を聞くのは久しぶり。
「元気そうだね、勇樹」
『まぁ、元気は元気だけど。
来週も登板するし』