蜜色チェーン―キミと一緒に―
10年以上近くにいるのに、拓海くんはまだ私の事すら信じてくれないなんて。
拓海くんが抱えているキズの大きさに、胸が張り裂けそうになる。
先の見えない気持ちに……胸が痛くなる。
「もしも、拓海くんが私を想ってくれてたとしても。
拓海くんから歩み寄ってくれないと、きっとダメだから……。
私からは言わない。
言っても、拓海くんを追い詰めちゃうだけかもしれないし……」
そう決めたのは、もう随分前の事。
好きだって言ったところでどうにもならないし、拓海くんが過去から救われるわけじゃない。
だったら、そばにいて、一緒に過去をほどいていけたらって……そう思った。
――けど。
「分かってるの。こんな関係続けてたって、誰のためにもならない事も、このままじゃダメだって事も。
でも、言ったら……拓海くんが私の前からいなくなっちゃう気がして、怖くて……。
だけど、このままでいるのも……ツラくて……」
どうすればいいのか。
ずっと分からないまま、長い迷路から抜け出せずにいる。