蜜色チェーン―キミと一緒に―



「愛美、おはよう」


更衣室に入ると、ロッカーを開けて着替えている愛美がいて声をかける。
私も隣のロッカーを開けて、着替えたところで……視線に気づいて愛美を見た。

いつも元気で騒がしいほどの愛美が挨拶を返さないどころか、黙ったままじっとこっちを見てるけど……。

なんでだろう。

何か言いたそうに口をもごもごしてはいるけど、一向に愛美の声は聞こえてこない。
……本当になに?


「……愛美? どうかした?」


あまりにおかしい状況に言うと、愛美はまた少しもごもごした後、「ダメだ!」って声を漏らした。


「ダメ? なにが?」
「我慢しようと思ったの。だって由香を傷つけたくないし、あんなに泣くほど大好きなんだから」
「……なんの話?」
「猫の話だよ!」
「猫?」



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