蜜色チェーン―キミと一緒に―


「そうなんだ」


着替えながら答えると、またそれを怒られる。


「そういうの、やめなって。
私には全部話したんだから、素直に落ち込んだりショック受けて泣き出してもいいんだからね!」
「……ありがとう」


愛美の言葉が嬉しくて素直にお礼を言ったのに、愛美は少し呆れたみたいにため息をついた。


「だから、泣き出していいって言ってるのに。
弱音吐くなりしてくれないと、ひとりで抱えてた今までと一緒じゃん。
せっかく私に話したのに」
「ありがと。でも、これくらいで泣かないよ」
「……由香って、本当に意外だけど強いよね。
好きな人が他の女と噂になってるのに、“これくらい”ですませられるの?
普通、泣いたり焦ったりするくらい、大事件だと思うけど」


感心するみたいに言いながらじっと見つめてくる愛美に、少し困りながら「んー」って首を傾ける。



< 92 / 285 >

この作品をシェア

pagetop