月とバイオリン
言おうとしていたそのままを引き取られ、シェリーはおとなしく口を閉じた。

言葉はいくつも見つかり騒ぎ立てていたけれど、メアリーアンを相手にそこまで暴れることなどしてはいけない。

腰に手をあて、振り向いたメアリーアンは笑っていた。

姿勢は説教用なのだけれど、顔がそれではぶち壊しだ。

「どうして見つかったのか知りたいでしょう、シェリー」

「どうして? 抜け出すと思って見張っていたの?」

「あの家から抜け出す方法は、私はだいたい自分でやっているのよ。音に気づかなかったわね。裏の門は跳ね返ったときに鐘のような音を立ててしまうの。丁寧に戻さなかったのが敗因よ、シェリー。すぐに駆け出したのも」

「それでピーターに捕まったことがあるのね? そのタネ、明かさなければ次も私を捕まえられたのに」

「そんなこと言ってると言いつけちゃうから」

「ごめんなさい」

「はい」
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