久遠の花〜 the story of blood~【恋】





「次で、何も残らぬだろうな」





 雅の体から流れる――血だった。

 今までの動きは本気じゃない。制御が出来なくなれば、全員が一瞬で殺されてしまうと、美咲は目の前のことに釘付けになっていた。呼吸が乱れていく様子に、長は好機とばかりに畳みかける。


「悔いの無いよう、言葉をかけてやれ」


 美咲の背中に触れ、長は手を取りその場に立たせた。

 体の違和感が消えていく。もしかしたら……いや、きっとこれで会えなくなる。そう考えたら、いくら話せるチャンスだとわかっていても、美咲の思いはまとまってくれなかった。





「……っ、もる」





 発したのは雅。それは痛みから漏れた言葉でなく、美咲に向けた言葉。





「まもる、って……今度、こそっ!」





 伸ばされる手。それを見て美咲は、胸が熱くなるのを感じた。感覚は鈍っているというのに、いやにはっきりとわかるのは――。







「止めたいなら――願え」







 美咲の中で、答えが出ていたからだった。







「わたし、は……っ」







 〝 生きてほしい 〟







 その思いが、美咲に言葉を紡がせる。
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