暁に消え逝く星
小路の角に、小さな人影が見えた。
「――」
アウレシアが、小さくした打ちする。
「さあ、戻ろう。途中で止まるんじゃないよ。振り返っても駄目だ」
腕を引かれて、イルグレンも動き出す。
小路の角を通り過ぎると、ちらりと小さな子供の姿が見えた。
思わず、振り返って見てしまう。
「グレン」
気配を感じて、アウレシアが咎める。
「レシア、あの子供達は何なのだ」
もう一度振り返ると、小走りに後をついて来る。
「旅人を見かけると寄ってくる親のない子達さ。ものごいをするために」
「なぜものごいをするのだ」
「働けないからさ」
「なぜ働けんのだ」
「子供は力も弱い。ましてやあんな小さな子は役には立たないんだよ。ここでは、子供を売ることだけは禁止されているから、あの子らにできることは、ものごいをするか、盗むか、身体を売るかだ」
驚いて、イルグレンは立ち止まる。
「あんな子供がか!?」
アウレシアが大きく息をついて振り返る。
「養ってくれる親を持たない子は、自分で自分の身を護るんだ。他に方法はないよ」
立ち止まったイルグレンの背後に、小さな兄弟が追いついた。