暁に消え逝く星
まだ十にもならぬ、保護を必要とするいたいけな子供達だ。
身なりは、ぼろと言うほどではないが、家もなく路上で寝ているのか、土に汚れていた。
兄と思われる、少し背の高いほうが、自分より小さな弟の手をしっかり握っていた。
「悪いけれど、あんたたちにやれるようなものは何もないんだよ」
冷たい口調でアウレシアは告げた。
そうでもしないとこの子らはいつまでも離れない。
愛情に餓えた子供は同情に敏感だ。
「いや――ある」
「グレン!?」
イルグレンは先程の賞金の包みを、背の高い兄のほうに渡した。
「これを持っていけ。これで、しばらくは大丈夫なはずだ」
しゃがみこみ、目線を合わせると、イルグレンは兄のほうに、できるだけ優しく、ゆっくり話した。
「その金は、少しずつ使うのだ。決して見つからぬよう分けて隠すか、いつも身につけているがいい。大金があることを決して他の連中に悟られぬようにするのだ。できるな」
兄弟は、最初訝しげにイルグレンを見つめていたが、渡された袋の重みと真摯な彼の眼差しににわかに現実に立ち返る。
「あ、ありがとう!!」
イルグレンの気が変わるのを恐れたのか、兄弟は二人に背を向け、あっという間に走り去った。