妖怪のアイツと人間の私 ~夏空に想いを~
「せっかく良いところだったというのに…」
本気なのかそうでないのか曖昧な魄弥に瑰竜は
「どこがじゃッ!!!嫌がっていただろうが!」
プンプンと頬を膨らませ 怒っていた。
そんな瑰竜に目もくれず 魄弥はまっすぐと私を見て…
「また、ここへ来い。」
感情の読めない表情をしながら言っていた。
「私は……」
二度と来ない。そう言いかけたが瑰竜がとても寂しそうにしていて口に出せなかった。
何故か前の私と似ているように感じたんだ…。
「待ってる」
依然、目をそらさず言うと私と瑰竜をそのままにどこかへ行ってしまった。
私はその後ろ姿を眺めるしかなかった。
「彩花。…また来てくれるよな?魄弥は根は良い奴なんじゃ。だから…」
こんな私の足にしがみつきながら目を潤ませる瑰竜…。
私は頭を撫で瑰竜と目線を合わせるため屈んだ。
「うん。また来るよ」