妖怪のアイツと人間の私 ~夏空に想いを~


必死に暴れ魄弥から逃れようとするが暴れれば暴れる程強く抱き締められる…。



駄目だよ。離して

貴方もいつかは…―。




「―…ッ!彩花!…魄弥、彩花から離れろッ!!!」



そこにさっき自分の部屋に戻ったはずの瑰竜がいた。


ベシベシと叩く音が聞こえ魄弥は観念したように溜め息をすると私から離れた。



「分かったから叩くな。 鬱陶しい。」


「彩花に手をだすお主が悪いのじゃ!」



二人が言い合っている間に涙を手で拭き取った。


「彩花。すまぬ…まさか魄弥があんな事をするとは思わなくてな」



「大丈夫。」



自然に笑う事はできなかったかもしれない。

瑰竜が悲しそうに表情を歪ませていたから……






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