さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
沖田さんの部屋の前で足を止める。
いくら馴れてきたと言っても、好きな人の部屋に入るのは毎度緊張する。
「・・・沖田さん、調子はどうですか?」
そおっと襖を開いて中をのぞき込むと、なにやら筆を手に取っている沖田さんの後ろ姿が見えた。
仕事中なのかな。
今声を掛けたの、迷惑だったかしら。
ほんの些細なことが凄く不安に思われる。
怒ってるかな、なんて考えながらじっと後ろ姿を見つめる。
前よりも少し痩せた?
「あず?」
「はっ、はい!」
そんなことを考えているときに沖田さんが振り返るから、思わず驚いてしまった。
そんな私の様子を見て、くすくすと笑う。
「考え事?珍しいね。」
笑顔を向けてくれるから、邪魔したことに怒ってはいないな、と思って少しほっとする。