ゾンビのヒットマン
社長の姿を一言で表すなら、そう、ブタだ。

これほどまでにピタリと当てはまる言葉は他にあるまい。

まず、太っている。

もう顔から服から全部パンパンだ。

何もかもがはちきれそうになっている。

そして、なぜか服がピンクなのだ。

ピンクのスーツなのだ。

もはや狙っているとしか思えない。

この姿を見てブタ意外を連想する人がいるだろうか、いや、いない。


そして、全身の見えている肌という肌が毛で覆われている。

もじゃもじゃだ。

ヒゲがとんでもなくもさもさに生え、どういうワケか首のあたりにも毛が生えている。

服はピンクなのに、身体は黒豚だ。

さぞかし脂が乗って美味いに違いない。

だが、ああそうだ、一か所だけ毛が生えていない部分があった。

頭頂部だ。
なぜか頭だけはツルッツルだ。

男性ホルモンが頭以外に集中してしまったのだろうか。

不健康な生活を送っているのだろう。

頭頂部の肌の色は極めて汚い。
血行が最悪だ。

毛だらけなのに頭だけツルツル……これがギャップ、というヤツなのだろうか。


「やあいらっしゃい、ゾンビ君。待っていたよ」


社長がなかなかダンディな声を出した。

だが、“ボス”のセクシーな声には及ばない。

ボスほどではないが、なかなかダンディな声。

そう申しておこう。
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