俺が唯一愛した女
『おい、どこまで行くんだよ?香織って何?離せって…』
腕を引っぱられ病院の中庭に来た俺は
ミユが立ち上まると同時に立ち上まる。
『……。』
ミユは下を向いたまま
俺を見ようとしない。
『おいミユ…』
「ごめんなさい!!」
ミユは俺に深く頭を下げ
何故か大きな声で謝る。
『何謝ってんの?つーか声デカい…』
中庭を散歩する患者や看護士達は
何があったのかと俺達を見ている
「……。」
『とりあえず、みんな見てるから頭上げろって…そこのベンチに座ろうぜ』
「うん…」
『ちょっと此処で座って待ってろ』
「……。」
自販機でコーヒーを買った俺は
座るミユにコーヒーを手渡すと
自分も隣に腰を下ろす。
「ありがと…」
『で、突然謝りだすわ…一体どういう事だ』
「香織はね、あたしのお姉チャンの名前…」
『……。』
「あたしのお姉チャンとあきチャンは、仲の良い夫婦だったの…」