…TRIANGLE…

 今日は数学、物理、地理、歴史と眠い系の授業ばかり続いているから教室はまったりモードで、抜け出したらバレバレだろうけど、一分でも一秒でもはやく俺とナツは何かを取り戻したいんだ。


 穂香が何食わぬ顔でこの教室に歩いてきてるなら、それはそれでいい。風邪ひいて家で寝込んでるなら、それもそれで仕方ない。

 でも、違う理由で穂香が俺たちと離れて一人で悩んでるなら、はやく見つけてあげたい。



「ナツくん、隼斗くん……」


 穂香と仲がいい美咲ちゃんが、目を真っ赤にさせて俺たちの前に立つ。


 その泣きはらした顔だけで、穂香に何かあったか一目瞭然だ。


 それまで、ナツの隣の席でおとなしかった亜里沙が美咲ちゃんの肩を掴んだ。



「美咲、どうしたの? こっちおいでよ」


 亜里沙は、うちの学校で一番可愛いとか言われてるけど、性格の悪さが滲み出てて本気で可愛いなんて思ってるやつはいない。男はみんなヤらせてくれたらそれはそれでラッキーな可愛い女くらいにしか見てない。それを自分はモテると勘違いしてるような奴だ。


 穂香も亜里沙と同じクラスになってから、少し仲良くしていたみたいだけど、ずっと心配してた。


 俺が、なんで仲良くしてるのか訊くと、穂香は笑いながら、亜里沙ちゃん大人っぽくて私と全然違うから、と言ってたっけ……





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