…TRIANGLE…
携帯は着信音が鳴った時点で即没収という決まりがあるから、ナツは椅子をずらして机の陰でメールをうつ。
それを見つからないように、俺は何食わぬ顔して担任からナツをブロックする。
ホームルームが終わっても、返事がない携帯にナツがあからさまな不機嫌さをぶつける。
心配で会いたくて仕方ないって顔に書いてあるのに、ナツは仏頂面で窓のほう見たまま足を組んだ。
「穂香が何考えてんのか、全然わかんねー。担任もなんで休んだのかわかってないみたいだし、サボりだろ? あの穂香が学校サボるなんてよっぽどだぞ」
「だよな、ナツが寝坊してホームルームサボるのは日常的だけど」
「隼斗! もとはといえば、おまえが原因なんだよ!」
ナツが俺の胸ぐらを掴み前後に揺する。それから、何か考え込んだように黙ると、手を離して、また窓のほうを向いて大人しくなった。
「ま、俺も悪いのかな……穂香の話、もっとちゃんと聞いてやればよかった」
ナツは素直で純粋だ。それは穂香も同じだけど、素直で純粋すぎて面倒くさい。
「俺たちもサボるか? 学校」