捨てられない恋



「私の唯一の友達…か」



なんていいながら撫でようとすると


猫はフィッと顔を背け、
何処かへ消えて行ってしまった。



あ、振られた。




なんて寂しい人間なんだ、私。



「たった一匹の友達も行っちゃったよ」




哀しさと虚しさで
私は膝に顔をつけクスッと笑った





― その瞬間





「何してんの?」



私でも、


もちろん猫のでもない誰かの声が

静かな空間に響き



私は驚いて顔を上げた。



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