Secret Prince[短篇]
がしっ
グラスに口をつけたその時、腕を思いきり掴まれた。
「きゃっ…」
あまりの驚きにグラスが手から滑り落ちる。
ガッシャーン……
「…冷てぇ」
目の前にはビショビショの裕二さん。
「ご、ごめんなさい!」
直ぐに近くにあったタオルでスーツを拭く。…が、そんな簡単に落ちるわけがなかった。
大きく残った染み。
「…どうしよう、」
「あー、別いいけどさ。」
そう言う裕二さんは本当にどうでもよさそうな顔で私を見た。
「よ、よくないです!」
「……それより、それ酒だから。」
私の言葉は完全無視して、こぼれて半分も残っていないグラスを指差す彼。