オベロンの赤い花
マクアリーナは目が見えるのか不思議なくらいしわで覆われた修道女でした。
彼女の仕事はこれからペセディアのお世話。
 
まず彼女はペセディアをこれから一年暮らす部屋に案内しました。
そこはとてもいい匂いのする部屋でした。
 
何の匂いだろうとペセディアがマクアリーナに聞くと
 
「これはですねこの森でしか採れないオベロンという花なのですよ。」
 
と言い、部屋にあった1輪花を指差したのです。
 
「いい匂い…。それにきれい。」
 
不安で不安で仕方のなかったペセディアでしたがその花のおかげで少しだけ元気になれました。
 
「マクアリーナさん。」
 
「何ですか?ペセディア様?」
 
そう言うと涙をぬぐいマクアリーナに答えたのです。
 
「よろしくお願いします。」
 
マクアリーナはやさしく彼女に微笑みました。
 
 
―それから、一年ほど経ったある日。―
 
「マクアリーナさん。私、ママ・・・ママの好きな森の泉に行きたい。」
 
マクアリーナはニコッと微笑むと
 
「じゃあ、少しだけお散歩しましょうか?」
 
「ありがとう!!」
 
それから2人は森の中を散歩しました。
 
森を散歩中。
 
「森の泉には不思議な妖精が住んでいるそうですよ。」
 
マクアリーナがペセディアに言います。
 
「妖精?素敵なの?」
 
「でもね、大人には彼を見ることはできないそうなんです。」
 
「子どもにしか見えない妖精なの?」
 
すると、マクアリーナは首を振りました。
 
「いいえ、大人にも見えるんですよ。」
 
「見にくいの?」
 
「えぇ、とっても。恥ずかしがり屋さんなんです。」
 
手をつなぎ歩くペセディアとマクアリーナ。
 
森の手前で青い花を見つけました。
いい匂い。
 
「これ、なんて花?」 
 
「それも色違いのオベロンの花ですよ。」
 
「森の妖精王オベロンが誰かの幸せを願い種をまいているんです。」
 
「…オベロンか。」
 
森の奥を見つめてペセディアはつぶやきました。
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