青薔薇に愛を込めて
そしてローニャくんが社の前で足を止める。
ふわり、何処からともなく風が吹き、若草色の髪が靡いた。
この部屋は密室で、窓はない。ドアも閉まっている。
なんで風が?
不思議に思って辺りを見回していたら。
ぽちゃん――…
静かな音が波紋となって部屋に広がる。
それと同時に水面が揺れた。
揺れる若草色。
虹色に煌めく水面。
小さい手がすっと社を撫でる。
私はそれを食い入るように見ていた。
なぜだか目が話せない。強い力で引き付けられているかのように。
「さあ、おいでになったみたいだ」
リツィリアさんの声が私に届くことはなかった。
それほど目の前の光景に集中していたのだ。
くるりとローニャくんが振り返る。
良く分からないけれど、緊張で私は手に汗をかいていた。
――――そして冒頭にいたる。