先輩と後輩の恋愛事情



あれからテスト、冬休みと来て、今日はクリスマス。







「楽しみですね、パーティー」



「そうだね」



笑顔の先輩と手を繋いで、クリスマスパーティーが行われる学校の体育館へ向かう。




今日は学校の行事とも言われるクリスマスパーティーの日。



全学年が集まって食べ物やダンスをして楽しむ。




そして最後はお楽しみのプレゼント交換がある。




プレゼントは自分たちが買ったやつを前に出して、先生たちがシャッフルして適当に渡していくのだ。




つまり何が当たるのかはお楽しみ。




「あ、愁、実梨ちゃん!」


「やっと来た」



「遅いね…」




私たちがついた頃には早瀬先輩、紀田くん、佳と、ほとんどの人が集まっていた。




「わ〜、早瀬先輩のドレスキレイですね!」



「ありがとう。
実梨ちゃんも似合ってるわ」



「そうですか?
ありがとうございます」




へへへと照れながらもお礼を言う。



そう、このパーティーには制服じゃなくて、ドレスで来てもいいのだ。



もちろん制服でもいいけど…。



男子もほとんどの人がタキシードを着ている。




「あ、そろ開会式始まるよ」



「行こっか」



ヒールや靴で入ってもいいようにシートがひいてある体育館に入っていった。




「今宵はキレイに晴れて星も瞬いてます。
ちょうどいいパーティー日和ですね。
これからも皆さんに幸あることを。
メリークリスマス!」



『メリークリスマス!』




こうしてクリスマスパーティーは開催した。




「あ、この料理美味しそう!」



「そうだね」



あまり見たことも、料理名もわからない料理に興奮する紀田くん。




何だか子供みたい…。




小さく笑って見ていると、チョンチョンと肩をつつかれた。




振り返るとそこには佳がいた。



「佳!」



「実梨、楽しんでる?」



「え、うんまぁ。
こんなの初めてだしね。
結構楽しんでるよ!」



「そっか。
よかった」



「うん…?」



「じゃぁ、先輩と仲良くね」



ポンと肩を叩かれ、すれ違い際に




「先輩が嫌になったら、俺も隼人もいるから」



耳元で言われ、ニカッと笑って行ってしまった。



…今までで初めてあんな笑顔の佳みた気がする…。



行き去る佳の後ろをボーと見ていると、「ちょっと」と後ろから声をかけられた。



今度は早瀬先輩だった。



「どうしたんですか?」



「いいから、ちょっと付いてきて」



そう言われ、ただ私は黙って早瀬先輩のうしろを付いて行った。



先輩に付いていくと、外に出た。



「…ねぇ実梨ちゃん…」



「はい…」




「今年いろんなことがあったわよね…」




「…そうですね」



「…あの時はごめんなさい」



あの時?




もしかして嫌がらせしていた時?




「大丈夫です、気にしてないでください」



「…そう言われるとありがたいわ」



私より先にいた先輩は振り返り微笑んだ。



「私、最初は先輩とこんな仲良くなるなんて思ってもいませんでした。」



少し思い出してクスクスと笑う。



私の早瀬先輩への第一印象は甘ったるい猫なで声で大嫌いなタイプだった。



毎回黒木先輩話す時は睨んでくるしで…怖かった。



嫌がらせも最低だって思ってた。




でも、今はこんなにも仲がいい。



ホント、不思議だ…。




「ふふ、そうね。
私もこんなに親しく話ができる女の子の友達ができるなんて、思ってもみなかったわ」




先輩も口に手を当てて笑う。



「実梨ちゃん、こんな私だけど、これからもよろしくね?」



「はい、私のほうこそよろしくお願いします!」



お互い顔を見合わせて笑った。



そんな時、ガラッと体育館の扉が開く音がした。



「あら、愁」



え、黒木先輩!?



バッと振り返ると、先輩は「こんなところで何してるんだ?」みたいな顔をしていた。



「さて、私はそろそろ中に戻るわ。
あなたの王子様が来たことだし…」



そう言って早瀬先輩は笑って中へ入って行った。




静かな外に残された私と黒木先輩…。







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