強引な次期社長の熱烈プロポーズ
車を降りて少しだけ歩く。
あまり地理感覚に長けていない百合香は今どの辺りにいるのか認識するにはややしばらくかかる。


「智さん、どこへ?」
「君が好きそうなところ」
「私が好きそうな…?」
「言っとくけど、ディナーじゃないよ」


さりげなく食い意地張ってるかのように意地悪を言うから恥ずかしくなる。確かに、食べることは好きだけどいつでもそんなこと考えてる訳じゃないのに。

百合香が不貞腐れて後ろをついて歩いていたら、急に立ち止まって、『冗談』て笑って肩を抱かれたから、いじけてたことを忘れてしまうから本当に狡い。と百合香は思う。


そして、ひとつのビルが目の前にあって、そこにエスコートされるように入って行った。
すぐエレベーターがあって乗り込むと、40階を目指して上昇し始めた。


「40って…」


百合香はそんな高層ビルに立ち入ったことなんかない。前に柳瀬とホテルでディナーをとった時すらも驚くくらいだったのにここはその時の倍以上ある。

「高いの苦手?」
「いえ、多分大丈夫…」
「多分?」
「こんな高いとこに来たことなんかないですから」

『あぁ。成る程』と柳瀬が笑った時に目的地の40階にエレベーターが到着した。


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