強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「すみません…そういうつもりじゃありませんでした。実は、さっき阿部さんといるところを見てしまったので…」
「え？あいつが？」
「あっ…正確に言うと、突然現れて捕まってたと言うか…」
「···それで隠れてたんだ？」


コクンと頷くと、ちょうどコーヒーが運ばれてきた。
気づけば喉はカラカラ。なんだか身体も冷えた感じがする。
百合香はコーヒーカップに手を添え、熱を感じると少しずつ冷静さを取り戻してきた。


江川もコーヒーに手を伸ばし口につけた。

「これから会う予定ではあったんだよね？」
「はい」
「じゃあもう少ししたら電話くるよ、絶対」
「····そうですね」


「それまで付き合うから」
と、江川は言った。

一人でいたらこんなに落ち着いていられなかった。江川が向かいに座って、コーヒーを飲んでるのを見るだけで心は落ち着けた。

たまに微笑んでくれる江川から穏やかな空気を感じられて百合香は安心できた。
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