強引な次期社長の熱烈プロポーズ
(『頑張ります』って…
あいつ、そんな仕事熱心だったか?)

まあ酔っ払いの言うことか、と特に気にも留めずに柳瀬が坂谷を目で見送ると、店員がちょうど万年筆を手にもってやってきた。

「お待たせしてすみません、こちらじゃないですか?」
「間違いないです」

そうして受け取った大事な“桜”。

柳瀬はそれをまた定位置の内ポケットにしまって店を再び出た。


(すっかり夜も更けてしまった。
百合香には電話じゃなくメールを入れよう。)


帰りの電車で柳瀬は百合香にメールを送信して、自宅に着いたのは0時を回っていた。


< 285 / 610 >

この作品をシェア

pagetop