強引な次期社長の熱烈プロポーズ
程よく疲れていて、普段ならばすぐに眠っているところ。
でもこんな風に待ち望んでる連絡がくると思うだけで眠れる気がしない。

ただベッドで右へ左へと転がっているだけ。
読みかけの本にすら集中出来ない程に、いつの間にか百合香の全てが彼中心に廻ってる。

目を瞑っても浮かんでくるのは一人だけ。

(私、相当依存しているな――)

そう思って目を開けた瞬間に、静かな部屋に着信音が鳴り響いた。
百合香は瞬時に起き上がり、携帯を確認する。
こんな時間に連絡が来るのは誰かなんてわかってはいたけれど…


【from:柳瀬智
 sub:ごめん 

今帰りの電車の中。遅くなってごめん。返信はいいから。出張中も出来るだけ連絡入れるよ。おやすみ。】


淡々とした内容のメール。
だけど好きな人からのメールというだけで何度も読み返してしまう。

(声…聞きたかったな。)

百合香はそう思うと携帯を見つめた。

(今電車ってことは、20分位で家に着く頃かな。
電話してもいいかな。迷惑じゃないかな…。)

百合香は柳瀬が家に着くであろう20分間ずっと葛藤していた。

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