強引な次期社長の熱烈プロポーズ
まずはどこのメーカーのものを言っているのか確認する。
大体の目星はついていたから3社のカタログを開き始めて該当するものを探し出す。

それらしい商品は幸いひとつしかなかった為、それをお客様に確認してもらうと間違いないとの答えでまずは一つクリアしたことに安堵する。

“龍”と呼ばれたその蒔絵の万年筆はオーシャン社のものだった。

百合香は坂谷に相談して、キャンセル不可になってもいいのであれば取り寄せ対応してもいいと指示を受け、その旨を男性に伝えた。


「もちろん、必ず購入させていただきますよ」


二つ返事でOKを貰った百合香は最後にオーシャンに在庫があるかどうかの確認を電話で急いだ。

在庫の確認結果は一本だけあるということで無事にまずはお客様の希望を叶えることができたと心の中で喜んだ。


「では、前金になりますがお会計よろしいでしょうか?」


比較的高額である蒔絵のお会計に汗が出る。
それはそうだ。何十万単位なのだから。

しかしお客様は前金と言われても、やっと探し求めていたものを見つけた喜びでなんの躊躇いもなく支払いをしてくれた。


「在庫があるとのことだったので、週明けにはご用意できるかと。ご連絡いたしますので」


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