特上男子
「私ってそんなに冷たそうに見える?」



怒った様子のないセリさんの声が頭上から聞こえた。


それでもやっぱり顔を見る勇気はなくて、私は俯いたまま言葉を返した。



「つ、冷たいと言うか……大学から出て来るときに何度かお見かけして、その、いつもニコリともしてなかったので……と、とにかくすみませんッッ!!」



膝にデコがつくんじゃないかというくらい深々と頭を下げた。



「言われなれてるから気にしなくていいよ。だから頭上げてくれないかな?」

「は、はい……」



恐る恐る顔を上げると、セリさんは優しい顔で笑っていた。


こんな私にそんな美しい笑顔を見せてくれるやなんて……。



『大学楽しくないの?』

「楽しいよ。楽しいけど智輝のファンがウザったい」



そっか……。


そう言えばセリさんが怖く見える時っていつも智輝のファンが群がってる時やん。


自分の彼氏があんなに女子に囲まれたら、仕事柄しょうがないとはいえいい気はせんよね。






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