特上男子
海に行った日以来智輝さんには会えずじまい。


もしかしたらあれは夢やったんやないかと思う時がある。


それくらい幸せでフワフワした時間やった。


連絡先も聞く勇気がなくて聞けんやった。


本当に私って意気地無し。


肝心の勝負だって負けてしまい、マジ撃沈。


智輝さんが私にお願いなんてあるわけないし、きっと何事もなかったかのように流れていくんやろうな。


帰りのホームルームも終わり、今日もただ1日が過ぎていく。



『葛城ー、帰る前に職員室にちょっと来い。話がある』

『はぁい』



ブッキーは言うだけ言ってさっさと教室を出て行ってしまった。



『ライトが呼び出しとか珍しいじゃん。何やらかしたんだよ』

『んー……思い浮かばないや』

「私たちの中で何かやらかして呼び出されるのは遥だけでしょ」



ぷぷっ!!


言えてるっ。



『おいこらっ!!笑ってんじゃねぇよっ!!』

「だって凛子の言う通りっちゃもーんっ」

『お前もやらかして呼び出される側だろうがよ』

「遥と一緒にせんでよね!!私は至って真面目な生徒ですぅー」



胡散臭いとでも言わんばかりの目を向けられ、私は負けじと腕を組んでキッと遥にガンを飛ばした。



『あっ!!』



突然ライトが大きな声を上げたもんやけん、肩がビクッと跳び跳ねた。





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