契約の婚約者
沙希には兄が二人いる。


35歳と31歳と沙希とは歳が離れているせいか、兄たちは幼い頃から沙希を可愛がってくれた。


とくに長兄徹のシスコンぶりはひどく、沙希の彼氏はみな徹の品定めを受けてきた。


勿論、徹の眼鏡にかなった男などいるはずもなく、沙希は一ヶ月足らずで男と別れることが多かった。


いや、別れるというより、男が逃げていったと言った方が正しいだろう。


そして----そのシスコンぶりは今でも変わらない。


幾度となく、父の会社に入れ、家に戻れ、と徹から電話がかかってきた。


マンションや携帯の番号を変えてもすぐに突き止めるのは、父ではなく徹だった。


片桐に関しては、父が決めた相手ということもあり、徹にしては珍しく何もアクションを起こしてなかった様だが……


もしかしたら、すぐに結婚しないと時間をおいたことが、徹を安心させたのかもしれない。

できれば、二人を会わせたくない……


頭痛の種がまた一つ……と沙希はソファーに倒れた。


十和子は、式場はパンフレットのホテルならどこでもいいわよ、と念を押し、見送りもしてくれない娘にブツブツ不満をぶつけながら、部屋を後にした。



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