契約の婚約者
「あぁ、やっぱシュタルクビアは最高だな……」


「カタギリさん、飲み方がオヤジくさい……」


「お前はまた……まぁ、いい。せっかくのアイスボックだ」


片桐は沙希の毒舌に反論するのは諦め、ビールを楽しむ。


沙希も片桐もドイツビールには目がない。


シュナイダー・アヴェンティヌス・アイスボック----


ドイツ、シュナイダー醸造所のラス・ボスともまで謳われた、年一度の限定品。度数はビールにしては12度と高く、この味わいを知ると、他のビールに浮気できなくなると言われている。


沙希は片桐が以前アイスボックが好きだと言っていたのを覚えていた。喜ぶ顔が見てみたいなんてかわいい感情はないが、このビールを前にしたときの片桐の反応が楽しみだったのは事実だ。


< 173 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop