契約の婚約者
「シュナイダー・アヴェンティヌス・アイスボック?お前どこでこれ手に入れた?」


冷蔵庫からドイツ語が陳列したラベルの瓶を1本取り出し、目を細める。


「ふふふ……」


「シリアルナンバーつきだろ?」


片桐の嬉しそうな反応に、沙希も心が弾む。こんな感情は初めてかもしれない。


「まぁ、金持ちの娘だからね。私の分も取って」


「ハハ、これはいい。沙希、お前はやっぱり最高だ」


沙希は、安い男だなぁ、と毒を吐きながらもどこか嬉そうだ。


「栓くらい開けてくれるだろ、婚約者様は?」


「性がない。開けてやるか」


沙希は手早く栓を開け、一本を片桐に渡す。


二人は瓶をカツンと合わせ最初の一口を喉に流しこんだ。



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