契約の婚約者
脈略のない行動を取られても、この気まぐれな猫が愛しいと思えてしまうあたり、『恋は盲目』というものだろう。


この二人の関係を『恋』なんてかわいいものと呼べるかどうかわからないが。


好き勝手されるのは、性に合わない。


そろそろいいだろう、と片桐を押さえ付けていた沙希の両腕を取り、そのしなやかな身体を反転させ組み敷いた。


「沙希、満足したか?」


濡れた唇をそっと親指で拭ってやれば、その指をいきなり噛まれた。


「-----っ」


「噛むなと何度言えばわかるんだ?」


咄嗟に指を引き抜き、沙希の頬を両手で挟み視線を合わせる。


その瞳は、怒りを帯びているも、やはり切なく揺れている。




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