契約の婚約者
言えるわけがない。


この8つも年下の気まぐれ猫に溺れすぎないよう、自分を抑えていただけだ、とは----


せっかくの休日も気付けば、半日以上をベッドの上で裸で過ごしている。


抱いたばかりだというのに全身が沙希を渇望してしまう。


セックスを覚えたての十代の青臭いガキとはわけが違う。自分はもういい年した大人だ。


そう言い聞かせ、大人としての理性と分別を総動員させていただけだ。


「片桐さん?」


押さえられていた手の力が緩み、解放されたと思った矢先、沙希は、ぎゅっと片桐に抱き締められた。


「お前を壊しそうだ」


首筋に吐息を掠めるように囁かれ、沙希の身体がブルっと震える。


「自分を抑えないとどこまでもお前に溺れそうで、一線を引いていただけだ」


耳朶でそんな甘いセリフを囁かれ、先程まで毛並を逆立てて反発していた身体から、ふにゃりと力が抜けた。



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