契約の婚約者
沙希を見遣った修一が急に真面目な顔になる。


今から何を言おうとしているのか、だいたいは想像がついた。


沙希の拳にぐっと力が入る。


「沙希、悪いな。奈央はニューヨークに連れて……うげぇっ……」


修一が最後まで言い終わらないうちに、その鳩尾に沙希のパンチが入る。


構えてないところにクリーンヒットがさく裂し、修一は壁に手をつき苦しそうにもがいた。


「バーカ。人の玩具を取り上げたバツよ」


「ゴホッ……沙希、てめぇ……」


まだ呼吸がままならないのか、苦しそうに修一が沙希を睨む。



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