契約の婚約者
「どうした?お前から誘うなんて……」


沙希の部屋の入口に立ち、片桐は少し困った顔をしいる。


今まで片桐から沙希を誘うことはあっても、沙希から誘うことはめったになかった。


「いいから、入ってよ」


「沙希?」


「うるさい……ヤリたい……」


沙希は靴もまだ脱いでいない片桐の項に手を回し、キスをせがむ。


ぐいっと顔を自分に向けさせ、唇を重ねた。


「……ハァ……昨日付き合ってあげたんだから、今日はカタギリさんが付き合って……」


沙希の濡れた唇から今までにないほど女を感じる。



< 46 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop