契約の婚約者
ガチャ……



ドアを開けると、そこに立っていた男は不機嫌そうに彼女を見下ろした。


「何で携帯に出ないんだ?」


「何で出なきゃいけないの?」


「今夜慰めろよ……?」


勝手知ったる顔で男は沙希の部屋へと入っていく。


「ヤダね。安眠妨害、近所迷惑。さっさと帰れ」


「それはないだろう?」


男は沙希の手を取り、自分の方へと引き寄せる。


「風俗の病気持ってない子紹介するよ、カタギリさん」


「ふっ……婚約者に風俗嬢を紹介しようとするのはお前ぐらいだよ、沙希……」


「別に結婚しないんだから関係ないじゃん……」



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